インプラントをすることが不安で、特に痛みが恐いです。

 

この度、筆者(歯科医 岡田)がこの原稿を書こうと思ったのには、きっかけがありました。

それは、耳鼻科での筆者自身の体験があったからです。

 

先日、左耳の聴こえが悪くなって木曜日に診療をしている耳鼻科を受診した所、先生が「右耳に耳垢がこびりついている。取ります。」と言われ、私の右耳にいきなり器具を入れ、耳垢を取り始めました。

耳の中にナイフを突き刺された様な激痛が走り、痛みの余り涙を流してしまいましたが、先生はその後も処置を続行されました。

地獄の20秒弱の処置でしたが、処置が終わった後も痛みは続き、涙を流している私に先生は「はい、聴力検査に行きましょう。」と言われました。

処置後も痛みが強く、痛みにうずくまりながら聴力検査を受けました。

お会計後、耳鼻科の建物を出て車の運転をして帰ろうと思いましたが、痛みが強くてとても運転できず、30分位車の中でうずくまっていましたが、早く帰宅して痛み止めを服用したかったため、何とか運転して帰りました。

帰宅後、30分くらい経っても右耳周囲が仕事に集中できない程の痛みが続いたため、家族の者に車を運転してもらい、その耳鼻科を再受診した所、先生は「右耳の中、出血していますね。消毒しておきます。」と言われました。

先生に、痛み止めの薬が欲しいと言うと、先生は「痛み止め?お金がかかりますが痛み止め欲しいんですか?」と言われました。

その後も12時間以上、結構な痛みが続きました。

ちなみに、この日の翌日、今まで何ともなかった右耳の聴力が普段の50%位になってしまいました。

 

私は歯科医ですが、色々な意味で上記の体験を、当院を受診される患者さんには絶対にさせてはならないと考えます。

歯科を受診される患者さんはどの様にインプラントに対して不安を抱き、痛みが恐いと感じておられるのでしょうか。

 

  1. インプラントは「手術」で「大変」なことだ
  2. どんな麻酔をするのか?全身麻酔なのか?
  3. 麻酔が痛いのではないか
  4. 途中で麻酔は切れてこないのか?ちゃんと効くのか?
  5. 帰宅後等、麻酔が切れたら痛いのではないか
  6. インプラントという長い棒状の大きなものを体に埋め込むことに抵抗がある
  7. 以前入れたインプラントがすぐにダメになって大変なことになった人がTVなどで報道された。インプラント自体大丈夫なのか?

 

以下、1~7に対する回答や、当院が心掛けていることを述べます。

1.インプラントは「手術」です。

一口に手術と言っても、肺がんの手術の様な重い物から、グラグラの乳歯を抜くという(処置自体は)3秒で終わる極めて軽い手術もあります。

手術を「軽い」「中くらい」「重い」に分類するならば、インプラントは「中くらい」の手術に分類されます。

具体的には、親知らずを抜くのと同程度のものです。

 

2.麻酔は局所麻酔です。

インプラントを行うのが右下奥なら、右下奥にだけ麻酔をします。

 

3.予防接種の注射よりも痛くない程度のものです。

歯科の麻酔と言えば、歯ぐきに針を刺して「ギューッ」と圧力をかけてグイグイされるイメージを持たれている方もおられるかと思いますが、そういった麻酔方法は採用しておりません。

当院では、まず歯ぐきに塗り薬の麻酔を行い、粘膜がしびれて来た頃に注射で麻酔をします。

注射と言っても、ほとんど圧力はかけず、フワーッと行いますので、痛みがあったとしても、例えば予防接種の注射よりも痛くない程度のものです。

「麻酔が全く痛くなかった」と言って下さる患者さんも少なくありません。

 

4.手術中に麻酔が効かない、あるいは切れてくる心配はほとんどありません。

麻酔の量を聞くかどうかのギリギリの量ではなく、十分に余裕を持たせて設定しているからです。

使用する麻酔の量には色々な考え方があり、「ギリギリ効く、必要最小限だけ使う」という考え方もありますが、これだと少し手術が長引いてしまうと麻酔が切れてくることもあります。

麻酔量を少し多めに使ったとしても、身体への負担は余り変わりません。

それならば、術中に絶対に麻酔が切れてこない十分な麻酔をして、安心して手術を受けてもらおうというのが当院の考え方です。

また、前述の耳鼻科の話の様に、患者さんが痛がっているのにそのまま処置を進めてしまうことはありません。

インプラントの時には、常々痛みが無いかを確認しながら処置を進めて行きます。

 

5.インプラント手術後、特に骨の移植をした場合にはしばらく経ってから痛み、腫れが起こることもありますが、そのほとんどはそれ程強いものではありません。

手術後には必ず薬を飲んでもらいますが、痛みが気になる程であれば、少し薬を多めに飲んでもらうこともあります。

もちろん、「手術後も全く痛くなかった」という患者さんも多数おられます。

 

6.現代のインプラントは昔に比べて小さくなっています。

インプラントが恐いという理由として、「大きなものを体に埋め込むから」というイメージを持たれている方もおられると思います。

しかし、現代のインプラントは昔に比べて小さくなっていて、直径4mm前後、長さで10㎜前後ですので、処置中の身体への負担も大きなものではありません。

 

7.今のところの当院での成功率は約98%です。

当院は、インプラントを始めて約30年、1000本以上のインプラントを入れていますが、インプラントを入れて数年間使っていくうちに「インプラント周囲炎」になってしまい、

インプラントを取ることになったケースは数本あります。(歯周病で歯が抜けてしまうことがある様に、インプラント周囲炎でインプラントが抜けてしまうことはあります)

どんな手術でも、100%成功する保証はできないものですが、今の所の当院での成功率は約98%です。

 

 

今後も、患者さんに不安や痛みを与えないように、常々確認を行いながら処置を進めて行く方針です。