インプラントが向いている人・向かない人
インプラントに向いている人
インプラントは基本的にほとんどの方が可能です。
特に入れ歯を作ったが慣れなくて困っている方やもっと色々な物が快適に咬めるようになりたい方、これ以上御自身の歯を失くしたくない方にお勧めできる方法です。
インプラントが向いている方
- 残っている自分の歯を極力守っていきたい方
- 健全な自分の歯を極力削らない方
- 義歯を入れてみたが違和感が強かったり、発音障害や食事をする時間が苦痛だったりする方
- 入れ歯を入れることにコンプレックスを感じる方
- 顔の外観をなるべく若く保ちたい方 (少しずつ歯がなくなると、顔貌も少しずつ変化してしまいます。)
- もっとおいしく食べられるようになりたい方
- 残っている歯の歯周病悪化を防ぎたい方
- 初めて歯を失った方 (最初にブリッジを入れてしまうと入れ歯への第一歩になることがあるため)
- 顎の骨がしっかりある方
- ヘビースモーカーでない方
インプラントに向かない人
インプラントは万能な治療方法ではありません。
多くの方は可能ですが、当然向いている人と向かない人がいます。
口の中の状態ではやった方が良くても、全身疾患が重度の方にはおすすめできませんし、本人が強く希望されても骨のボリュームが余りに少ない場合や、まれですが家族から強く反対される場合にも入れ歯をおすすめすることがあります。
御自身の体調・生活環境を考えた上でご検討下さい。
インプラントが向かない方
1.重度な全身疾患がある方
糖尿病
血糖値やHbA1cの値が極端に高く、コントロール不良の方は全身の免疫機能が正常に働かないことが多いため、内科での治療によって改善してからインプラントをおこなうことになります。
心筋梗塞 脳梗塞
心筋梗塞や脳梗塞をおこして間もない方は、体への負担は極力さけたいことや 、抗血栓薬(血液をさらさらにする薬)を飲んでいることが多いため、手術時に 出血しやすくなるリスクがあります。
また、弁膜症などの心臓病がある方は、感染リスクが高く手術時に特別な対応が必要になる場合があります。
肝臓病
肝臓病により肝臓の機能低下がみられる方には、手術中の出血がよりしやすい状態であることと、薬剤の使用により肝臓に負担がかかるリスクがあります。
腎透析中の方
透析中の方は手術中出血しやすいことや、薬剤が腎臓に負担をかけてしまう場合があります。
リウマチなど、ステロイド使用中の方
重症のリウマチや膠原病を患っている場合は、ステロイドホルモン(副腎皮質ホルモン)を投与されている場合が多く、骨再生が著しく阻害され、インプラントと骨の結合に悪影響を及ぼすことがあります。
白血病などの血液疾患のある方
白血病により抗がん剤治療をしている場合は、免疫力が極端に低下している場合もあり、インプラント治療ができないこともあります。
また、血小板など血液成分が低下している場合があり、インプラントなどの手術はリスクとなる場合があります。
2.重度の骨粗鬆症がある方
骨粗鬆症の内服薬や点滴をしている方は、手術の傷が治りにくいことがあります。
3.顎の骨の量が極端に少ない方
(インプラント体の大きさは、太さ約4ミリ、長さ8ミリ以上あり、それが植立できるボリュームアップ 骨造成)が出来ない方)
具体的には、
・上あごの骨の厚みが5~6mm以下の場合は「サイナスリフト」という骨の量を増やす手術が必要となります。
・上あごの骨の厚みが5~8mmの場合「ソケットリフト」という骨の量を増やす手術が必要となります。
・下あごには、神経が走っていますが、ここまでの骨の厚みが7mm以下の方は残念ながらインプラント治療は行えない場合もあります。
4.外科手術や体内に異物を入れることに、強い恐怖心を感じる方
抜歯することも耐えられない方にはおすすめしません)
5.年齢が20才以下、85才以上の方
あごの成長途中にある年齢が低い方や体へ負担をかけたくない高齢の方にはあまりお勧めしません。
6.定期検診が受けられない事情のある方
インプラント治療は、入れておしまいではなく定期的なチェックとクリーニングをおこなう事で長く使用し続けることができます。
3~4ヶ月に1回のメインテナンスを強くおすすめします。
術前にコントロールが必要な方
- 血圧のコントロール不十分な方(特に180以上の方)
- 糖尿病のコントロール不十分な方(特にHbAlcが7以上の方)
- ヘビースモーカーの方
- その他全身疾患があるが、ドクターの指導を受けていない方
- 重度の歯周病がある方
※ 糖尿病や他の病気でも程度が軽いものであればインプラント可能なこともあります。
もし不明な点がありましたら、担当歯科医師までお尋ねください。
インプラントに年齢制限はあるのか?
答えは、20歳~85才くらいまでの方が可能です。
理由
(1)20歳まではインプラントをしない理由
学会レベルの根拠としては、1996年にスウェーデンで開かれた「若年者に対するインプラントのコンセンサス会議」にて、「インプラントは、顎骨の成長に対応しないことから、生物学的に成長を終えた後を適応年齢とする」と、結論づけられました。
例えば、下の顎は成長期には下前方に少しずつ伸びて発育しますが、下顎の骨に埋まっている歯も顎の成長に合わせて位置を少しずつ変えながら成長していきます。
ところがインプラントではそれが起こらないため、初め(成長途中)に植えた位置と成長後の位置が大きくズレてしまいます。
ですから、成長発育にある年齢では、インプラントを行いません。
生物学的には、人の成長発育は、男性18歳 女性16歳でほぼ完了するとも言われていますが、中には18才で身長が数㎝伸びる例もあり、ほとんどの人が成長発育を完了すると思われる20歳からのインプラントをお勧めしています。
(2)インプラント出来る年齢の上限は85歳くらいまでという理由
(1)の「年齢の下限は20歳まで」という見解は、ほとんどの歯科医の間で一致した限界ですが、上限に関しては、意見の分かれるところです。
学会レベルでは、「身体が健康であれば、年齢の上限はない」という見解ですが、現実的な問題としては、当院ではおおよそ85歳くらいを上限としています。
理由として
- 85歳を超えてインプラントをした実例が世界的にみて少ない事。
- 手術後の回復がしづらい場合がある。
・やや感染しやすくなる。
・細胞や血管の働きが弱くなり、傷の治りが不十分になることがある。 - 体力的に、長時間の手術に耐えづらいことがある。
- 糖尿病、心疾患、高血圧、骨粗鬆症など、基礎疾患を持つ確率が高くなる。ただ、年齢の上限に関しては、患者さんが「健康である」という前提が必要です。
健康な方であれば当院では70代以上の方で約11名のインプラントの実績があります。
アンチエイジングの観点から、当院では70代以上の方にも(健康であれば)、ご希望された方には積極的にインプラントを行っており、全く問題なく長時間保っていただいています。