インプラントに使われている材料はどんなもの?
インプラントに使われている材料はどんなもの?
インプラントには、純チタン(Ti;原子番号22の金属)が使われています。
チタンは、地球上にはありふれた金属ですが、製錬・加工が難しいため実用化され始めたのはごく最近のことです。
化学的な安定性・強度・軽さ・耐食性などで優れた性質を有することから工業界で注目を浴び、メガネのフレームから航空機まで様々な用途に使われていますが医学界においても、生体親和性の高い(体になじむ)金属として注目を浴びてきました。
世の中には多くの金属があり、その大半の金属は人によってはアレルギーをおこします。
ニッケル(Ni)、コバルト(Co)、亜鉛(Zn)などの卑金属はもとより金(Au)、白金(Pt)、パラジウム(Pd)などの貴金属にもアレルギーを
起こす人も珍しくありません。
事実、大学病院などのアレルギー科ではこれらの金属が用意されていてアレルギーのテストが出来るようになっています。
ところが、インプラントで使われるチタン(Ti)に限ってはアレルギーを起こす人が極めて稀であるためチタンのアレルギーテストを行っている医療機関は全国でも数える程しかありません。
このように、俗に言う「人に優しい」金属を医学界が放って置くわけがありません。
整形外科分野では、骨折時の固定プレイヤーや人工関節などの半永久的に体内に入れておくと材料として使用されます。
内科の分野でも、狭くなった血管を広げるための「ステント」として使われます。
特に、体の中では骨との相性が良い(しっかり くっつく)ことが1952年に発見されその後の基礎的・臨床的研究を経て、1965年に歯科界では臨床応用され始めました。
骨の中に自分自身以外の別のもの(異物)が入れば、普通、骨はそれを敵とみなして排除しようとします。
しかし、チタンに限っては敵とも味方ともみなさずにくっついてしまいます。
つまり、何事もなければインプラント(チタン)は、骨と仲良くくっついていますがお口の中の汚れが溜まった状態が長く続き、そこに細菌が入り込んでしまうと体はインプラントを敵とみなして排除しようとします。
そのためインプラントの周りは、特に念入りに普段からのお掃除が必要です。