インプラントの寿命

「歯科で治療したインプラントは、どのくらいの寿命があるのか?」については、患者さんの多くの方が気になることだと思います。

老夫婦

インプラントについて、患者さんからもっともよく聞かれる質問は「どれくらいもちますか?」「一生もちますか?」というものです。

インプラントがはじまって、現在40年余り

「一生もちます」とすぐにお答えできればよいのですが、現在のタイプのインプラントがはじまって、現在40年余りですので、世界中で40年以上もったものは今の所ないわけです。

そして40年余の耐久性の最長記録は、これから更新されていく段階です。
ですから、100歳まで生きるつもりの30歳の方に、「はい、一生もちます」とは現段階では誰も言えないのが現状です。

耐久期間についてはっきり言えない理由が、もうひとつあります。
それは、インプラントが骨とガッチリ結合したとしても、その後のケア次第では、天然歯のとき同様に歯を支えている骨が溶けて、インプラント周囲炎(インプラントの歯周病)になりグラグラします。
インプラントは虫歯になる心配は全くありませんが、歯周病はご自身の歯と全く同様に進行してしまうのです。

そのため、インプラントを入れたら、歯科医院での定期的なメインテナンスが必須です。
セルフケアで取りきれない汚れをしっかり取り、インプラントの歯周病を防ぎます。
また、噛み合わせをみて、インプラントや周囲の歯に偏った無理な力がかかっていないかを調べ、インプラントへの影響を防ぎます。
つまり、インプラント治療とセルフケア+メインテナンスはインプラントを長持ちさせるためには必須だと思ってください。

孫とおじいちゃんとおばあちゃん

「インプラントの寿命はどれくらいですか?」のご質問には、「日本に導入されて約30年ですので、それ以上の結果はまだ出ていませんが、患者さんの毎日の丁寧なセルフケアや歯科医院での定期的なメインテナンス次第です。」ということになります。

しかし、実際に植立されたインプラントの平均寿命も多くの論文で発表されていますので、それについて説明したいと思います。

生存率で見てみる

インプラントの平均寿命を考える上では、「平均生存率」のデータが多く報告されていますので、具体的には生存率で見てみることにします。

ブリッジは、   約10年で50~70%が生存(残る)
インプラントは、 約10年で90~95%が生存(残る)
入れ歯は、    約5年で40~50%が生存(残る)

という論文が多いです。

これだけを比較するとインプラントの方が優れているということになります。
しかし、この平均生存率は、患者さん個々の状況によりかなり違います。

生存率に影響する因子としては、

  1. 歯周病
  2. 噛み合わせや歯ぎしり等の力の集中度
  3. ブラッシングのレベル
  4. 全身疾患(糖尿病 等)の有無
  5. 喫煙の期間と本数
  6. 定期検診(メインテナンス)をきちんと受けているか?

等 さまざまな因子により治療の予後(将来性)は変わってきます。

また、ブリッジの場合には、土台となる歯が『神経があるか ないか』によってもかなり違います。
上記のさまざまな条件により異なりますが、生存率はあくまで全国的厚生労働省が集めたデータの平均です。

丸子歯科で考える寿命の目安

丸子歯科では寿命の目安としては、入れ歯やブリッジは「短くて数年 長くて10数年程」インプラントは「10年以上」が一つの目安ですが、当院の目標は「20年以上」です。
ちなみに、丸子歯科でのインプラントの実績は、最長期間は平成4年にインプラント治療をはじめましたので、今のところ20年ですが、現在更新中です。
10年以上生存率は99、8%です。(平成24年4月現在)

大切なことは、あなたの年齢や全身的状況、口の内の状況をふまえ、どんな食生活を送りたいかで、ご自身に一番合った治療方法を選択することです。

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