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インプラントはさびることはありますか?
インプラントはさびることはありますか?
基本的にはありません。
下図の様に、インプラントは主に3つの構造に分けられます。
- インプラント体‥骨の中に埋め込まれるインプラント本体で、金属のチタンでできています。
- アバッドメント‥インプラント本体とかぶせ物を結びつける構造で、かぶせ物の土台となる部分です。
インプラント体と同様チタンでできています。 - かぶせ物‥一般的な歯にかぶせるかぶせものと同じで金属は、主に貴金属(金、銀、白金、パラジウムなど)白い歯のかぶせ物は、セラミックでできています。
インプラント治療が、他の歯科治療と材質的に異なる点は、チタン(Ti)という金属が使われている点です。
以前、様々な国でコバルトクローム、金、白金など様々な材質を素材にしたインプラントが試みられましたがどれも上手くはいきませんでした。
しかし、1950年代後半、スウェーデンのブローネマルク氏(解剖学者)が、金属のチタン(Ti)が動物の体の中にあっても拒絶反応を起こさずに骨としっかり結合することを発見しました。
その後、インプラント治療は大きく進歩し、現在では世界中のほとんどのインプラントにチタンが使われています。
チタンは、人間の体と相性が良い素材ですので人工関節など、多くの医学分野でも使われています。
物理的性質をみると、チタンは アルミニウムより1.5倍重いだけで硬さはアルミニウムの6倍あり、さらにいいことに極めて腐食しづらい(さびづらい)性質を持っています。
水の中にずっと置いておいても腐食されません。(さびません)
空気中でも600℃までは、安定な金属です。
さびづらいだけではなく、アルミニウムの様に軽く、しかもはるかに耐熱性が高く、かつ硬い材料ですので飛行速度が音速まで近づく航空機や、宇宙観測のためのロケットにも使われています。
このように、生物学的にも理工学的(物理的)にも利点の多いのがチタンであり長期間、骨の中に置かれていても身体に悪影響を及ぼすことはありません。
アレルギー反応を起こす人も非常にまれです。
※ただし、歯科医院で扱う高濃度フッ素(9000ppm以上)に長期に浸すと腐食されたという報告があり、インプラント部分に直接高濃度フッ素を塗ることはさけています。
ですが、家庭用フッ素(950ppm前後)でしたら、長期に使用しても問題ありません。
一方でインプラントの上にかぶせる物は、一般の歯科治療と同様貴金属が使われていますのでさびる心配はありません。
どうして金属のインプラントと骨が結合するの?
どうして金属のインプラントと骨が結合するの?
インプラントが骨とくっつく理由は、インプラントの材質が「チタン」という骨とくっつきやすい特徴を持った金属で出来ているためです。
インプラントは、顎の骨の中に入れるとインプラント体がしっかりくっつき、その上にかぶせ物を入れることにより食べ物を噛み切ったり、すりつぶしたり天然の歯の様に咬むことが出来る治療です。
インプラントが骨とくっつく理由は、インプラントの材質が「チタン」という骨とくっつきやすい特徴を持った金属で出来ているためです。
学術的にはそのことを「オッセオインテグレーション」と言います。
チタンという金属は地球上の多く存在する金属ですが、昔は加工が難しくあまり利用されることがない金属でした。
今は、軽くて丈夫な特徴を活かして、歯科でのインプラントをはじめ、医科の骨折時の手術に体内に埋め込んだり、航空機やゴルフのドライバー、めがねのフレームと多くの場所で使われています。
インプラントの材料に選ばれた理由は、咬む力に十分耐えられる強度があること体の中で非常に安定していてほとんど変化しないこと、アレルギーがほとんどないことチタンが骨とくっつくという性質があることなどです。
チタンという金属の表面は常に厚い酸化膜に覆われており、体の中でいつも安定した状態を保っています。
そして、この酸化膜に骨を作る細胞が触れると自分の骨を作るのと同じように酸化膜の上に骨を作っていき、チタンは骨とくっついてしまいます。
一度チタンが骨とくっつくと問題がない限り、長期間にわたって安定した状態を保ち続けます。
また、かつて使用されていたインプラントは、表面がつるつるに磨かれたものだけでしたが、現在使用されているインプラントは、表面に細かい凹凸がわざとつけられています。
これは、表面が多少凹凸している方が早くしっかりとインプラントが骨にくっつくことが研究で明らかになったためです。
しかし、メインテナンス等を怠ってしまうとインプラント周囲炎になり、抜け落ちてしまうこともあります。
そのため、定期的にインプラントの周囲についた歯石や汚れをクリーニングすることによって、健全な状態が保ちやすくなります。
そこで当院では、年に3回以上のクリーニングに来院していただくことをおすすめしています。
インプラントしていてもCT.MRI検査は受けられますか?
インプラントしていてもCT.MRI検査は受けられますか?
撮影できます。
インプラント治療や希望されている患者さんや、インプラントを既に治療されている患者さんから「インプラントを入れたら、CT.MRIの撮影はできないのでしょうか?」というような内容のお問い合わせをいただくことがあります。結果から言うと撮影できます。
CTを撮影する際に、金属を外すように言われるのは、「アーチファクト」と言われる乱反射像が写ることを防ぐためです。
「アーチファクト」とは金属にX線を当ててレントゲン撮影をした時、光が乱反射をしたような像が写ることを言います。
この現像によって肝心の体内の様子が写らないことがあるので、まれに金属を外す場合があります。
また、MRIの場合は、磁気を当てるため磁気に反応する金属があってはいけませんがチタンや歯科用金属は磁気に反応しにくく、よく行われる頭部のMRIは歯と離れているので問題ありません。
CTやMRIの撮影ができないのは、どういう場合かというと、
CTの場合
(1)埋め込み式ペースメーカーや除細動器を装着している方は、連続してX線が照射されると、誤作動を起こす可能性があります。
MRIの場合
(1)埋め込み式ペースメーカーや除細動器、人口耳小骨や脳動脈クリップなど、磁気や電気的な刺激で作動する物が体内に埋入されている場合は撮影できません。
(2)磁石を利用した入れ歯を使用している場合や、人工関節や磁力で装着している義眼なども磁気に反応して、損傷することがあるため撮影できない場合があります。
どうしても口の中の金属を除去しなくてはいけない場合がありますが、現在ではMRI・CTの性能が向上しているため、 除去する必要がない場合がほとんどです。
病院によっては撮影に際して口の中の金属を外すように指示を受けたり、撮影を断られることもあるため、医科の主治医の先生とよく相談してください。
その後で、かかりつけ歯科医あるいは金属を入れた歯科医と必ず相談してください。
金属をつけてる状態で撮影した場合